こざわ犬猫病院

キシリトール中毒

キシリトール中毒 について

犬はキシリトールガム1個でも キシリトール中毒になります。犬はキシリトールの入ったシュガーレス ガムやキャンディ、歯磨き粉、を食べると、急速に低血糖になり、肝臓の組織を破壊します。最近は人間の低炭水化物ブームからキシリトール含有製品が増え、犬のキシリトール中毒の症例は着実に増加しています。

犬のキシリトール中毒はガム1個でも危険
犬のキシリトール中毒はガム1個で危険

目次

どんなものにキシリトールが含まれてますか

猫はキシリトール中毒になりますか

キシリトール以外の他糖アルコール(甘味料)は犬に中毒をおこしますか

キシリトール中毒の量は

キシリトール中毒の治療

どんなものにキシリトールが含まれてますか

キシリトールはシュガーレスガム 歯磨き粉 ボディビルダー向けの食品に多く含まれています。人間の処方薬の基材シロップにも含まれています。あまり知られていませんがピーナッツバターにも含まれており大変危険です。犬に薬を与える時にピーナッツバターに混ぜて与える人がいますが、絶対やめてください。一部のビタミン、サプリメント、化粧品、消臭剤、スキンジェル、日焼け止め、紙おむつ、ヘアケア製品にも含まれている可能性があります。

キシリトールの様々な表示

シリトールは様々な形で表示されており、犬に人間の食べ物を与える時は「キシリ」 と入った成分、「-tol」で終わる単語がないかどうかを確認して注意してください。メーカーは成分の量を製品ラベルに記載する必要がありませんので、含有量は知ることができません、食べた量にかかわらず治療を開始してください。

1,4-アンヒドロ-d-キシリトール アンヒドロキシリトール
白樺樹皮抽出物
白樺糖
d-キシリトール
キシライト
キシリチルグルコシド
ジラトール

上記成分は全てキシリトールです。

猫はキシリトール中毒になりますか?

猫が中毒になると言う間違った情報がネットで流れてますが、猫のキシリトール中毒の報告はありません

キシリトールに対する全身反応にはかなりの動物種差があります。猫、馬、人間に対して、キシリトールはインスリン放出を刺激せず、血糖値の変化はまったくなく安全です。ウシ、ラット、ヤギでは、インスリン放出を刺激しますので危険です。猫に対する研究では最大1 g/kgの用量でキシリトールを経口投与しても血糖値はさがりませんでした、猫がキシリトールに対してインスリン生成反応が乏しく、キシリトールを経口投与後 72 時間で肝臓の酵素や電解質に変化を起こした猫はいませんでした。 

👉猫に対するキシリトール毒性実験URL

キシリトール以外の他糖アルコール(甘味料)は犬に中毒をおこしますか?

他の糖アルコール (マンニトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトールなど) は、犬に同様の臨床効果を引き起こしません

犬のキシリトール中毒の症状

人間にとってキシリトールは、砂糖のカロリーの 40% で甘味を提供するだけでなく、口内での抗菌特性も備えているため、歯周病を軽減することができ、体の他の部分にも広範な健康上の利点、骨粗鬆症を改善し、感染症を予防し、子宮内膜症、子宮筋腫、さらには乳がんのリスクを軽減する可能性がありますが、犬はガム1個でもキシリトール中毒になります。

低血糖

犬の膵臓はキシリトールを糖と勘違いして 大量(3-7倍)のインシュリンを放出し、急速に低血糖になります、小型犬は少量のキシリトールでも死亡します。低血糖は 0.5 ~ 1 時間以内に発症することが多く、ガムを摂取した場合、低血糖の発症が数時間遅れる可能性があります。これはガムを噛んで摂取しなかった場合、キシリトールがガムから浸出するのに必要な時間が原因であると考えられます。低血糖は 24 時間以上続く場合があります

肝壊死

肝臓損傷は、肝臓のATPという物質の枯渇と肝細胞への直接障害が原因です。低血糖にならなくても 肝臓だけ破壊されるケースもあります。肝不全になったのち 血液が固まらなくなることがあります。肝不全は摂取後 4 ~ 6 時間以内に発生します。実験では、キシリトールを 1 g/kg および 4 g/kg PO で投与した犬で、ALT および AST が10 倍まで(用量依存的に)上昇しました。 暴露後 20 ~ 40 時間でピークに達する傾向があります。肝障害から凝固障害が発生すると、貧血や血小板減少症が認められることがあります

キシリトール中毒の量は

犬のキシリトールの血糖降下量は、体重 1 キログラムあたり約 0.075 ~ 0.1 グラム と考えられています。ガム1個でもキシリトール中毒になる可能性があります。

キシリトール中毒の治療

 ご家庭で犬が経口摂取できる場合は、高炭水化物食を頻繁に与えてください。

低血糖に対して臨床症状に対しては、 ブドウ糖  静脈投与 を直ちに行います。30分以内であれば、吐かせることができますが、時間がたっているとすでに吸収されています、キシリトールは急速に吸収されるため、30 分以上経過すると催吐は効果がなくなる可能性があります。血糖、肝臓と血液凝固検査は3日間厳密に監視します。肝臓壊死した犬は効率で死亡します。カリュウム濃度とリンの濃度は重要な予後判断になります。来院時に正常であっても24時間の血糖値モニターが必要です。

国動物毒物管理センターサイト☛ASPCA 動物毒物管理センター

以下はFDAの動画です わずか1時間で死亡することもあります。

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