シリカゲル猫砂肉芽腫
シリカゲル猫砂肉芽腫 について
シリカゲル猫砂が猫の肉球に炎症を引き起こす
「愛猫の肉球が腫れている」「足から膿が出ている」──そんな症状を見て、心配になったことはありませんか?実は、その原因が毎日使っている「猫砂」にあるかもしれません。今回は、猫砂と猫の足に起きる炎症について、最新の研究結果を元にわかりやすく解説します。

シリカゲルとは?身近な猫砂の成分
猫砂には、シリカを主成分とするものが多くあり、日本では最も人気で最も多く販売されてます。シリカは、人間の肺に炎症を引き起こすことが知られている一方で、動物の皮膚に与える影響はあまり研究されていませんでした。
猫砂が肉球の炎症を引き起こす?
最近の研究では、慢性的な肉球の炎症や腫れ、潰瘍といった症状を持つ猫の生検サンプルを調べたところ、なんと猫砂の成分と非常に似た物質が発見されました。
この物質は、顕微鏡で見るとシリカに似た光を放つ小さな粒子で、炎症を起こした組織の中に埋め込まれていました。この炎症は「猫砂肉芽腫」と呼ばれ、猫の肉球に猫砂の成分が入り込んでしまうことで起きると考えられています。
なぜ一部の猫で起きるの?
肉球の皮膚が弱い猫ちゃんは、猫砂の粒子が皮膚に入り込みやすくなる可能性があります。
つまり、もともと肉球に問題がある猫が、猫砂の粒子によってさらに症状が悪化してしまう、という悪循環が起きている可能性があるのです。
愛猫の肉球を守るためにできること
研究結果から、私たちは愛猫の健康を守るためにいくつかできることがあります。
- 定期的な肉球のチェック: もし愛猫の肉球が赤く腫れていたり、潰瘍ができていたり、膿が出ていたりする場合は、すぐに動物病院で診てもらいましょう。
- 獣医師への相談: 診断の際に、猫砂が原因かもしれないと獣医師に伝えることも大切です。「猫砂肉芽腫」かどうかを特定できる場合があります。
- 猫砂の見直し: もし愛猫がすでに肉球の病気にかかっていたり、猫砂肉芽腫と診断されたりした場合は、シリカゲル以外の素材でできた猫砂への変更を検討するのも良いでしょう。
- シリカゲルは人間にも有害物質;海外ではシリカ猫砂が原因の人間への健康被害も数多く報告されています。乾燥剤として使われているシリカゲルは袋に入っているので、人間や猫が吸引したり肌触れることはありませんが、猫砂としてのシリカは、粉塵の吸引や皮膚への暴露のリンクが高くなります。今使っている猫砂の成分をしらべて、シリカ猫砂は飼い主様御自身健康の為にも環境中に持ち込まないようにしましょう。
「猫砂肉芽腫」はまだあまり知られていない病気ですが、日々の観察と適切な対応で愛猫のつらい症状を和らげてあげることができます。
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参考文献;
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