ワクチン抗体価測定
ワクチン抗体価測定 について
最終更新日 : 2026年2月13日

| 比較項目 | 毎年の追加接種 | ワクチン抗体価検査 |
|---|---|---|
| 目的 | 免疫の維持・更新 | 現在の免疫力の確認 |
| 体への負担 | 副作用のリスクがゼロではない | 採血のみ(極めて低い) |
| 費用(目安) | 約5,000円〜10,000円 | 8,000円(税別) |
| おすすめ | 外出が多い、ドッグラン等 | 高齢、アレルギー歴、病気療養中 |
抗体検査はいつからできますか
| 項目 | 内容・推奨されるタイミング |
|---|---|
| 最終ワクチン接種 | 子犬:14〜16週齢
子猫:16週齢 での最終接種がガイドラインで推奨されています。 |
| 抗体価判定の時期 | 最終接種から2〜4週間後
(目安:18週齢〜20週齢での検査) |
| 抗体「陰性」の場合 | 最後のワクチンから2週間以上空けて再接種が必要です。 |
| 検査可能時期 | 最後のワクチン接種から最短2週間後より実施可能です。 |
現在のワクチン接種ガイドラインでは、子犬の場合は 14 ~ 16 週齢、子猫の場合は 16 週齢でコアワクチンを最終接種することを推奨しています。
抗体価は、最初のワクチン接種シリーズの完了後、2~4 週間ほどで判定できます (つまり、18 週齢または 20 週齢での検査になります)。
18週齢で抗体陰性となった子犬または子猫は、最後のワクチン接種から2週間以上経過してから再接種する必要があります。抗体検査は、最後のワクチン接種から2週間後から実施できます。
🔍 抗体検査結果の解釈
| 検査結果 | 動物の状態と解釈 |
|---|---|
| 陽性 (+) 未接種・健康 |
過去に感染し、そこから回復したことを示唆します。その動物は現在、防御免疫(ウイルスから守る力)を持っています。 |
| 陽性 (+) 過去に接種あり |
ワクチンの効果により、現在防御免疫が維持されていると判断できます。 |
| 陰性 (-) 成犬・成猫 (過去に接種あり) |
抗体レベルが時間とともに低下している可能性があります。 ただし、体内の「メモリー細胞(免疫の記憶)」が残っていれば、ウイルスに曝露した際に素早く抗体を作り出し、発症を防ぐことが期待できます。 |
| 陰性 (-) 子犬・子猫 |
ウイルスに感染する感受性(リスク)があるとみなされます。 【考えられる理由】 ・体質的に免疫が反応しにくい(非反応者) ・母犬/母猫からの「移行抗体」が邪魔をしてワクチンが定着しなかった |
抗体価検査の結果が「陰性(抗体が低い)」と出ると、飼い主様は「えっ、うちの子は全く守られていないの?」と不安になりますよね。
実は、血液中の抗体が少なくなっていても、体の中には**「メモリー細胞(記憶細胞)」**という頼もしい守護神が隠れている場合があります。この仕組みを、専門用語を抜きにして分かりやすく解説します。
抗体価「陰性」の成犬・成猫でも安心できる理由
消防署に例えると分かりやすい!
免疫の仕組みを「消防署」に例えてみましょう。
抗体 = 街をパトロールしている**「消防車」**
メモリー細胞 = 消防署で待機している**「消防士さんと設計図」**
ワクチンを打ってから時間が経つと、街中に消防車がいなくなる(抗体価が陰性になる)ことがあります。しかし、消防署(メモリー細胞)には「火事(ウイルス)の消し方」のデータがしっかり保存されています。
もし実際にウイルスが侵入してきても、このメモリー細胞が**「あ!これはあのウイルスだ!」**と即座に察知。一気に大量の消防車(抗体)を製造して、ウイルスが暴れ出す前に食い止めてくれるのです。
メモリー細胞のすごいポイント
寿命が長い:
抗体は数ヶ月〜数年で減ってしまいますが、メモリー細胞は数年、場合によっては生涯にわたってウイルスを覚えていることがあります。
反応が早い:
初めての敵には時間がかかりますが、一度覚えた敵に対しては、次に侵入してきた時に驚異的なスピードで抗体を作ります。
結局、再接種は必要なの?
「メモリー細胞があるなら、一生ワクチンはいらないのでは?」と思われるかもしれません。しかし、以下の理由から再接種を検討することがあります。
[!IMPORTANT]
再接種を検討するケース
高齢や持病がある場合:メモリー細胞の「思い出す力」が弱まっている可能性がある。
感染リスクが高い環境:ドッグランや多頭飼育など、ウイルスに触れる機会が多い場合。
特定のウイルス:一部のウイルス(レプトスピラなど)は、メモリー細胞だけでは防ぎきれない場合がある。
獣医師からのアドバイス
成犬・成猫で抗体価が陰性だった場合、「すぐに危険!」というわけではありません。 当院では、その子の年齢、持病の有無、お散歩のスタイル(他の子との接触頻度)などを総合的に判断し、「今はメモリー細胞を信じて見守るか」「念のためブースター(再接種)でパトロールを強化するか」を飼い主様と一緒に決定します。
「数値が低い=ダメ」ではなく、**「その子にとって最適な守り方」**を一緒に考えていきましょう。
記事の監修は 救急診療37年の獣医師 こざわ犬猫病院院長
参考文献
1. Greene CE, Levy J. 免疫予防法. Greene CE編『犬と猫の感染症』第4版. セントルイス、ミズーリ州: Elsevier-Saunders; 2012:1163–1205.
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3. Gill M, Srinivas J, Morozov I, et al . 多価犬ワクチン接種後、犬ジステンパー、アデノウイルス、パルボウイルスに対する3年間の免疫持続期間. Intern J Appl Res Vet Med . 2004;2(4):227–234.
4. Schultz RD, Conklin S. 21世紀の免疫システムとワクチンの課題. Comp Cont Ed Pract Vet . 1988; 20:5–18.
5. Schultz RD, Ford RB, Olsen J, Scott F. 力価検査とワクチン接種:従来の慣行の新たな視点.ラウンドテーブルディスカッション. レネクサ、カンザス州: Veterinary Healthcare Communications; 2002:1–16.
6. Twark L, Dodds WJ. 健康な犬における再ワクチン接種戦略の決定における血清パルボウイルスおよびジステンパーウイルス抗体価の臨床応用. J Am Vet Med Assoc . 2000;217:1021–1024.
7. Waner T, Mazar S, Keren-Kornblatt E. 成犬における再ワクチン接種前の犬パルボウイルスおよびジステンパーウイルスに対する免疫状態の評価におけるドット酵素結合免疫吸着法の応用. J Vet Diagn Invest . 2006;18(3):267–270.



